[Strategy and Economic Report]
(2011年1月)



Abstract
2011 年の貸出政策については、情報が錯綜している。①2011 年の貸出増加額は7 兆元、もしくは7.5 兆元とする、②貸出増加額の目標は設定せずに、自己資本比率や資産内容を勘案した各行毎の選別的預金準備率の操作によって貸出額を調節する、という具合である。2010 年の貸出残高は前年比19.9％増であり、2011 年の貸出増加額が7 兆元なら14.6％増、7.5 兆元なら15.7％増を想定していることになる。いずれにせよ、厳しい貸出抑制は意図されていない。中国共産党の序列構造をみると、主要地方トップは中央政治局委員が担っており、金融当局トップ（中央委員）よりも序列が上位である。このことが、成長志向の強い地方政府の意向に、金融がある程度従わざるを得ない背景となっている。「政績」向上を目指した動きが活発化しはじめる2011 年後半には、想定以上に貸出が伸びる可能性があろう。中国経済については、年後半は投資増加を中心とした「上ブレ」リスクに注視すべきなのである。
 

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